「オマケの分を安くしてくれ」
一般的に男性がしまり屋であるドイツでは、長い間、夫が家庭の財布を握っていました。家庭で必要な経費が出るたびに、おカネを妻に渡していたのです。
しかし、主婦も社会進出するようになってからは、銀行口座を夫婦共通で持つようになったり、支出が合議のうえで決められるようになってきました。現在では、ドイツ家庭の三軒に一軒は、主婦が財布を夫から奪取しています。
でも、この点は日本より遅れています。外国人は日本の女性を男性より弱い立場に置かれていると、一種の偏見で見ていますが、それは大いなる誤解です。私は、日本の主婦が夫から給料をそっくりもらっていることにピックリしています。また、デートをすればほとんどの場合、男性が費用を出してくれるのですから、女性がこんなに強い国はありません。
ドイツでは、財布は夫の管理下にあるものの、実際に家計の支出をするのは妻の役割です。ドイツの主婦は自由にならない財布で、家計をやりくりしていかなければなりません。したがって、歴史的必然の節約の精神は、いまでもドイツの主婦に受け継がれています。つまり、衝動買いをする主婦はほとんどいないのです。家計をコントロールしなければならない主婦の心構えは、まず衝動買いを慎むことです。ドイツの主婦は、どんなものでも、買い物には次のことを考慮してきました。
- 自分たちの生活様式に適ったものか
- 他人の真似ではなく、本当に必要で意義のあるものなのか
- それを手に入れることで、機能的な面での向上があるのか
あなたは、目に留った商品が値ごろで、しかも、オマケがついていたら買ってしまいませんか。しかし、ドイツ人は厳しく必要か不必要かを判断してものを買いますから、オマケが必要なものでなければ絶対に手を出しません。
その商品が本当に欲しければ、オマケはいらないからその分を安くしてくれといいます。いくら値ごろでも、オマケの値段がそこに含まれていて、輔されていると考えるのがドイツ人なのです。
ものを買う際、値段は大事ですが、購入基準としてはランクが下がるので、ドイツには、ディスカウントショップ街がほとんどありません。電話帳で調べないとディスカウントショップがどこにあるのかわからないくらいです。