サンドラ・ヘフェリン


「世界一ケチ」といわれるドイツ女性。でも日本女性よりずっと豊かに暮らしている。なぜ?


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方法だけあっても哲学がないと - 2

大岡山ショーマッカー.jpg 親は、子どもの持って生まれた能力、あるいは、それまでに育まれた才能を見極め、大切にします。ドイツ人は、小学生の子どもにとっての「向き」「不向き」は、ある程度わかるものだと信じています。

 作文が上手な子、計算が得意な子、手先が器用で工作がうまい子……8〜10歳くらいのうちに、親と先生はその子の能力を発見しようとします。そして、子どもは10歳で、進路を決めることになり、その能力を伸ばしていくのです。

 手先の器用な子は、職人さんなどのモノづくりに向いているだろうと、日本の小学校五年生の年齢から「ハウプトシューレ」(五年制)「レアールシューレ」(六年制)といった職業学校に進みます。いわゆる「手に職」をつけるのです。この子たちは大学には行きません。

 作文が上手な子は、語学能力を伸ばすということで、やはり小学校五年生から「ギムナジウム」(九年制)という語学系の学校に進みます。そこで、英語はもちろん、ヨーロッパ言語の素となるラテン語、そして、フランス語を身につけます。卒業後は大学に進学します。

 計算が得意な子は、理数系の「ギムナジウム」に行き、ラテン語、フランス語の代わりに数学、物理、科学を中心に勉強します。

 ドイツの親は手先が器用な子を、語学能力のある子に決してしようとはしません。持っている能力は伸ばそうとしますが、もともと劣っている能力を、努力を強いてまで人並みにするという考えはありません。

 ところで、日本はどうでしょうか?

 音楽の才能の有無を確かめず、子どもをモーツァルトにしようと、ピアノの練習をさせる親が多いのではないでしょうか。

 ドイツの親は、子どもの能力を信じますが、日本の親は、子どもの努力を信じているようです。つまり、努力こそ美徳、と考えているからだと思います。

 もちろん、ドイツ人も努力を否定しません。ただ、能力や才能を磨くための努力こそが、実を結ぶ努力と考えています。

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