石けん一つでできる健康的「節約」
ドイツでも日本でも、健康志向は社会の主流になっています。しかし、日本の健康志向はどうも企業主導型で、一般の人々はたんに「健康になりさえすれば、方法はどうでもいい」と考えているように思えます。その点、ドイツ人は気合いが入っています。
だから、ドイツの健康オタクたちは、現代人は石けんやボディシャンプーで肌を洗いすぎるといいます。昔からある石けんはアルカリ性を示し、細菌やカビから肌を保護している酸の作用を弱めます。もっとも、健康な肌であれば1〜2時間後には回復して、保護作用を取り戻すことができます。一方、最近の合成石けんや合成洗顔料は弱酸性か中性なので、肌の表面を保護している酸を壊しませんが、肌を乾燥させます。また、液体の洗顔料やボディシャンプーに保存料が使われていることで、中にはアレルギー反応を起こすものがあります。どちらが肌によいかについては、ともに欠点があるので、専門家の間でも意見が分かれています。
そこで健康オタクたちは次のことを実践しています。
- 洗顔料は少なめに使い、すすぎを充分にする
- 液状の洗顔料やボディシャンプーには保存料が含まれているので、固形の石けんを使用する
- 脂性の人は合成洗顔料、乾燥肌の人は脂肪分を与える従来の石けんを使う
- デオドラント剤(制汗防臭剤)を含む石けんや洗顔料は使わない(汗を分解したり肌を保護する細菌類を殺してしまうので、長い間使っていると、肌が感染やアレルギーに対して弱くなってしまう。ただし、脇の下用の制汗剤(ロールオンタイプ)は使っている)
- 肌を傷めないために、タオルで軽く洗う
私も液状の石けんではなく、従来の四角い石けんを使っています。使っていない石けんは洋服ダンスの中に入れてあります。タンスの中がいつもいい香りでいっぱいです。使って小さくなった石けんは、洗濯機に入れて洗濯に使用しています。香りが衣類についてとてもいい気分が得られます。
ところで、日本女性の肌がきれいな理由は二つある、と私は思っています。第一に食事です。魚やお味噌汁(とくにワカメと豆腐)が肌にいいように思えます。他に納豆、梅干し、たくあんなどの漬物(私の実感では、発酵食品が肌にいいように思います)、それにおソバ……。
二つ目は、持って生まれたものであること。ヨーロッパ人、とくに北の女性に比べると、日本人女性の肌は丈夫です。日本女性は欧米人の「持って生まれた白い肌」に憧れますが、実は厄介な肌のトラブルが多いのです。
欧米人の白い肌というのは敏感なので、10分ほど日に当たっただけで真っ赤になってしまいます。そのためシミやソバカスができやすいのです。さらに、40代、50代になると、日に当たったことが原因でシワをつくってしまいます。深刻なのが皮膚ガンで、ドイツでは推定で毎年、5000人以上の人がかかっているといわれています。これは、日本をはるかにしのぐ多さです。