消費文化を拒絶するドイツ人の遺伝子 - 1
「義理」と「コンビニエンスストア」には絶対に近づかない。
日本文化を勉強するために日本に来た私が、当時(16年前)、この地で暮らしていくうえで出した結論です。
どの国の人もそうですが、自立しての留学生活は、収入の確保と本来の目的である勉強時間の確保を考えなければならないので、つましく暮らすことが強いられます。私も日々、それこそ不況の中で家庭を賢く切り盛りする主婦のように、「入りを図って出るを節する」ことを心がけています。
この言葉は覚えたばかりですが、いまのところ私の座右の銘です。
私は日本がとても好きです。父の仕事の関係で、小学校二年生から五年生まで日本で暮らしたことがあります。たった三年間でしたが、すっかり日本びいきになり、日本を第二の故郷とさえ思っています。
日本人流にいうと、望郷の念に駆られてとなるのでしょうが、私はまた日本で暮らしたいと、20歳のときに再来日しました。
日本の文化、社会、日本人の心への理解を深めたいと思っている私が、日本人的なものの考え方や行動をとるのにさして時間はかかりませんでした。しかし、日本の消費文化だけは馴染めませんでした。
暮らし向きの必要性から、日本の消費文化と一線を画したいという気持ちが強いこともありますが、それはもともとドイツ人の生き方、ものの考え方に馴染むものではなく、私の理解の及ばない世界なのです。