動物実験でつくられた化粧品はNO!
ドイツでは、食品、化粧品、文房具、家具などが「環境を守る」「環境に優しい」ことをアピールして売られています。つまり、「当社は環境を考えたうえでモノをつくっています」と、宣伝にわざわざうたっているのです。
面白いことに、その宣伝は即、売上増につながります。猜疑心が強いドイツ人にしては単純といえばそうなのですが、ドイツ人は環境に優しい商品づくりを方針にしている企業や、その商品を支持します。
ミュンヘンで開かれたあるメッセ(国際見本市)で、日本のアサヒビールが毎日、環境に優しい企業であることをアピールしたことがありました。アサヒビールはリサイクルを考えた商品づくりをしているので、容器がゴミにならないというものでした。それでドイツ人はドイツに進出してきたアサヒビールを応援したのでした。
化粧品の宣伝でいうと、「ノリのいいファンデーション」とうたうより、「動物実験をしていない」ことを強調したほうが宣伝効果が上がります。
ドイツでは数年前から、動物実験反対の動きが強い。多くの人はエイズ治療薬など病気を治す薬をつくるための動物実験は仕方がないと思っています。しかし、化粧品のために動物が犠牲になることは大反対なのです。
女性も男性も美に関心がありますが、お化粧大好きの女性であっても、化粧品のための動物実験には反対しています。
なぜなら、薬は人の命を救うために必要なものですが、化粧品がなくても、人間は生きていけます。人命に関わる問題ではないことのために動物を痛めつけてはいけない、ということなのです。
動物実験がどれほど残酷なものであるか、人々に知ってもらうために、動物保護などの団体が実験現場の写真をよく公開しています。
たとえば、アイライナーが目に入っても痛くないかどうかを調べるのに、サルを実験に使います。サルの目にアイライナーの成分を大量にすりこみ、そのまま放置したり、強制的に目を開けさせたりします。この写真を見た消費者は、こんなむごいことをしなくても違う方法で製品がつくれるはずだ、と即座に反応します。
ドイツでは「環境、地球を愛するがために」と書かれたグリーンのマークを、街中のいたるところで見ることができます。それほどにドイツ人は環境問題に大きな関心を持っています。普通の何気ない会話の中にも、環境についての話が出てきます。たとえば、生活必需品についてどれが自然や環境に優しいか、と。
環境マークがないとモノが売れない
環境先進国のドイツでは、いろいろな商品に「環境マーク」がついています。これは一般に「ブルーエンジェルマーク」といわれ、連邦のマーク審査委員会が審査して、貼付していいかどうかを決定しています。このマークがついていれば、その商品をつくっているメーカーが環境に留意している証明になるのです。
ドイツでは非常にたくさんの製品にこのマークがついていて、マークがない商品は売れ行きが落ちてしまいます。
だから、メーカーはマーク認定に努力し、結果的に環境が守られるようになっているのです。