自由になるために節約を - 2
節約とはかけ離れた話になってしまいましたが、実は、ドイツ人は節約が自立には不可欠な要素と考えています。
一人暮らしにはやりくりが必要です。一般の人は、それほどおカネを持っているわけではありませんから、節約することで貯金をしなければなりません。
なぜ貯金が必要かというと、貯金があれば、精神的に自由になれます。また、かりにパートナーがいたとすると、そのパートナーには依存しない、という精神的自立が得られるからです。 節約の心を持たずに、浪費グセをつけてしまうと、おカネに困ることがあり、精神的な自由を奪われてしまいます。ドイツ人は、節約があってはじめて自立が可能になり、自由が得られると考えています。
だから、ドイツの親は、自立、自由への準備の一つとして、節約を子どもに教えるのです。
ドイツの親は、子どもに「健康的な警戒心」を持つことが自立していくうえで大切である、と教えます。私は子どものころ、両親から次のような言葉をよく聞いたものです。
「人を信じるのはいいことだけど、誰を信じるか選びなさい」
「最初に警戒心を持ち、人と距離を持って接し、後になり、いい人だとわかって心を許すほうが、逆よりましだ」
子どものころから、こうして植えつけられた警戒心は、対人関係だけではなく、コマーシャリズムにのせられて不要な買い物をしない、衝動買いをしない人間にします。
また、ドイツの親は子どもに、
「自由は素晴らしい。でも、自由には責任が伴うから、いまのうちから準備をしなくてはいけない」
「自由になると、危険なシチュエーションに出くわすことがあるから、それに備える準備をする」
と、よくいいます。
「健康的な警戒心」は、自由に暮らすために必要な「準備」の一つなのです。