自分らしさ」を大切にするドイツ人
ドイツ人は日常の中で、「personlich(ペアゼーンリヒ)であること」を大事にしています。「personlich」は「個人的」という意味です。「個人的であること」は「自分らしさ」の意味も含み、ドイツ人にとってとても大切なことなのです。結婚式やパーティーにしても、あまりに人が多すぎると「personlich」でなくなってしまう。親しい人一人ひとりと会話を楽しめる範囲で祝うのが「personlich」というものなのです。
「personlichであること」は「gemutlich(ゲミュートリヒ)」でもあります。「gemutlich」に相当する日本語はありませんが、「居心地がいい」「雰囲気がいい」、そういった意味合いの言葉です。
雪をかぶった小さな山小屋。外は雪がしんしんと降り続いている。小屋の中はロウソクが灯り、パチパチと音が弾け、赤々と燃える暖炉の前で、友人たちとワイングラスを片手に会話を楽しむ。
これが「gemutlich」です。「gemutlich」でないのが、深夜のコンビニエンスストア。あまりに明るすぎて目を覆いたくなります。また、ファーストフード店の女性従業員の甲高い声、そして、どんな相手だろうとモノトーンに機械的にオーダーを取り、笑顔をふりまくのもそうです。これらは「personlich」でないから、ドイツ人にはとても考えられないことなのです。