ドイツでは、お化粧に熱心な女性は軽薄とみなされる
もうひとつ、とてもビックリしたことがあります。若い女性の化粧オタクぶりです。
日本の女性はとてもきれいだと思います。身体は欧米の女性と違って細いし華奢。とくに肌がきれいです。私が興味深く見ているのは、日本女性が40、50歳になってもきれいな肌を保っていることです。そのうえ、欧米の同年齢の女性に比べるとシワが少ないことです。
日本女性の肌の美しさは、化粧品の使用とはまったく関係がないと思います。もともと美しいのだと思っています。それなのに多額なおカネを注ぎ込み、たくさんの化粧品を使っている。それも高いものを惜しげなく……私には、彼女たちが高ければ高いものほどいいと思っているように見えます。コマーシャルに影響されすぎているのではないでしょうか。日々のストレスの代償をお化粧に求めているのかもしれません。あるいは、安心感を得るためお化粧に時間を費やしているのかもしれません。かつて流行ったガングロ、ヤマンバたちは集団としては個性的でしたが、集団の一員としては皆一様な顔をしていました。みんなの中にまぎれ仲良くして、集団の一員であることを確認しているのでしょう。
ドイツ女性はあまり化粧品やグッズは持っていません。日本女性はその少なさにきっと驚くでしょう。ドイツの大きな都市の繁華街やオフィス街で、行き交う女性に「化粧ポーチを見せて」といっても、怪訝な顔をされるだけです。なぜなら、ほとんどの女性は化粧ポーチを携帯していないからです。もちろん、自宅にも化粧品はあまり置いていません。あるとしても、アイライナー、まつ毛を黒くするもの、パウダー、リップクリーム、口紅くらいで、それが一般的な女性が持つ化粧品の種類です。
ドイツのOLは基礎似笹品しか持たない。持っている化粧品数は日本のOLの約3分の1
お化粧が女性としての最低限の身だしなみという考え方が、ドイツにはありません。そのようなことをいえば、女性差別と非難されてしまいます。そのお陰で、私は朝の貴重な時間をお化粧に奪われることがありません。だから、普段は外出時でもノーメイク。お化粧をするのはテレビに出演するときだけです。スタジオのライトの関係で、メイクをしないとひどい顔に映るので、仕方なくやっているのです。
ドイツでは、お化粧に熱心な女性を軽薄な人と見なす傾向が強い。まず、社会のことに興味を持つことが大事で、そのうえでお化粧をしたり、おしゃれを楽しむべきだと考えています。心も身体も、そして、オツムも健康で美しくならなければいけないのです。